調停による離婚

相手が離婚に応じてくれないからと言って、いきなり裁判に持ち込むことはできません。日本において離婚は、調停前置主義をとっていますので、まずは家庭裁判所に調停の申し立てを行い、第三者を交えた話し合いの場を設けることとなっています。
調停は裁判所に係る手続きとなりますので、行政書士が関わることはできません。

調停離婚
話し合いで離婚がまとまらない、あるいは離婚の条件が折り合わないなどの場合、家庭裁判所に申し立てて、夫婦関係調整調停、一般に離婚調停と言われるお互いの意見を述べ合う場が、設けられます。
(ちなみに、離婚せずに何とかもう一度うまくやっていきたい、という場合には、夫婦関係円満調整調停、という申し立てもできます)

調停の目的は、双方が合意することですから、調停委員が独自に、離婚しなさい、あるいは離婚をやめてやり直しなさい、という判断をしてくれる場ではありません。あくまで本人の意思次第ではありますが、第三者である調停委員が間に入ることで、当事者同士だけの話し合いよりは、冷静になり、進展にも効果があります。
述べ合うと言いましたが、現在の離婚調停は、基本的に夫婦別々に調停委員の前に呼ばれて、それぞれ話を聞いてもらう形となりますので、相手の存在を気にすることなく、意見を言うことができます。

俗に“調停は声の大きい人が有利”と言います。これは、文字通りの声量の大きさではなく、自分の意見をハッキリ調停委員に伝えた方が、より自分の望む結果を得やすいという意味です。
また、調停委員は、社会経験も豊富な有識者ではありますが、きちんと自分の意見を自分の言葉で表現できない人は、離婚したいにしても、したくないにしても、その意思が弱い、と受け取られないとも限りません。
とにかく、調停前には、自分の意見、考えをまとめ、自分の状況や気持ちが、しっかりと相手に伝わるようにしなければなりません。

離婚には合意しても、親権や慰謝料等、離婚の条件に合意できない場合、条件に関する調停をすることもできます。

調停で、双方に合意ができた場合は、調停証書が作られ、お互いにそれを守らなければなりません。この調停証書の法的効力は、裁判の判決に等しく、養育費の支払いなどの条件を守らないと、強制執行が可能となります。

調停を重ねてもお互いの意見が平行線で、そのまま調停を続けても意味がない、と調停委員から進言があったら、不成立のまま調停は終了です。それでも離婚したい場合には、裁判ということになります。

しかし、裁判で離婚する、というのは日本では全体の1%にも満たないそうです。しばらく時間をおいて、再び協議、調停というケースもあるようです。
審判離婚
ごく稀にではありますが、調停不成立の場合に、裁判所が離婚を決めることがあります。それが、審判離婚です。
離婚に合意しているが、調停成立時に出廷しない、大筋で合意しているが、些細な点が解決できず、合意できない、双方が審判離婚を望んでいる(自分達の意思ではなく、やむを得ず離婚した形にしたい)などの場合、家庭裁判所が離婚するのが相当と判断すれば、“調停に代わる審判”を下し、離婚を成立させます。

裁判所の決定で離婚させられるわけですから、異議申し立てができます。異議がある当事者や利害関係人は、審判が下されてから二週間以内に異議を申し立てなければなりません。
異議申し立てがあると、審判は直ちに効力を失います。つまり、離婚はできません。

二週間が経過して、異議の申し立てがない場合、審判が確定します。その後は、確定判決と同様、不服の申し立てなどは、一切できません。